コンテンツへスキップ
戻る

会社員の自己啓発、82.9%が壁にぶつかる|公的データで見る3つの障壁と外し方

「スキルを身につけたいのに、なかなか続かない」——もしそう感じているなら、原因はあなたの意志の弱さではないかもしれません。

Naviaは、AIで副業収入を得たい会社員のための比較・検証メディアです。この記事では、「自分の意志が弱いせいかも」という個人的な悩みを、政府統計の実数で捉え直します。使うのは厚生労働省「能力開発基本調査」。働く人が仕事のために自分で学ぶこと(=自己啓発)の実態を、全国規模で調べている数少ない公的調査です。最新の調査結果から「会社員がどこでつまずくのか」を3つの壁として可視化し、最後に出どころもすべて開示します。

スクールでスキルを身につけることも、この「自己啓発」のど真ん中にあります。だからこの壁は、副業のために学ぼうとするあなたにも、そのまま当てはまります。

結論:会社員がつまずく壁は「時間・費用・選べない」の3つ

先に答えを出します。厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査」(令和5年度の実績)によると、自己啓発を行った正社員のうち、何らかの問題を感じた人は82.9%。学ぼうとした人のほとんどが、どこかで壁にぶつかっています。

その壁の中身を、正社員の回答が多い順に並べると、こうなります。

  1. 時間の壁:「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」——55.9%
  2. 費用の壁:「費用がかかりすぎる」——25.7%
  3. 選べない壁:「どのコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」(22.1%)+「自分の目指すべきキャリアがわからない」(19.8%)

「家事・育児が忙しい」(26.3%)も上位ですが、これは時間の壁の一種です。つまり会社員の学びを止めているのは、やる気ではなく「時間・費用・選べない」という構造的な3つの壁だということ。逆に言えば、この3つを先に外しておけば、続く確率は上がります。順に、データと外し方を見ていきます。

そもそも、会社員はどれだけ学べているか

壁の話の前に、現在地を確認します。令和5年度に自己啓発を行った人は、労働者全体で36.8%。正社員に絞ると45.3%、正社員以外は15.8%でした。正社員でも、学んでいるのは2人に1人弱です。裏を返せば、正社員の54.7%=半数以上は、令和5年度に一度も自己啓発をしていないということ。「まわりはやっているのに自分だけ」ではなく、学べていない側のほうがむしろ多数派です。

年齢別に見ると、構造がはっきり出ます。

年齢階級自己啓発を行った人の割合
30〜39歳45.0%
40〜49歳38.3%
50〜59歳31.4%
60歳以上20.6%

歳を重ねるほど、学ぶ人の割合は下がっていきます。仕事や家庭の責任が重くなり、時間が取りにくくなるからです。これは「若いうちに動いたほうが有利」という、当たり前だけれど見落としがちな事実を示しています。早く動いた人ほど、まだ時間に余裕があるうちに土台を作れます。

では、その学びを止めている3つの壁を、ひとつずつ分解します。

壁①|時間:正社員の55.9%が「仕事が忙しい」

最大の壁は、時間です。自己啓発で問題を感じた正社員の**55.9%**が「仕事が忙しくて余裕がない」を挙げ、2位以下を大きく引き離しています。会社員にとっては、想像どおりの結果かもしれません。

ただ、実際に学んでいる人が使っている時間を見ると、印象が変わります。自己啓発を行った人の平均の延べ実施時間は、年間で46.2時間(正社員は46.8時間)。これを単純に52週で割ると、1週間あたり1時間弱です。実際、実施時間が「20時間未満」の人が全体の半数近くを占めています。

つまり、続けている人も「毎日何時間も机に向かっている」わけではありません。週1時間前後の積み上げで成り立っています。時間の壁を外す鍵は、まとまった時間を作ることではなく、すきま時間で進められる学び方を選ぶことです。

ここはスクール選びに直結します。会社員が完走できるかどうかは、平日夜と土日のすきま時間で進められる設計か——オンライン完結か、動画を無期限で見返せるか、短時間のカリキュラムか——で決まります。スクールを比べるときは、「自分の生活時間で終えられるか」を料金やブランドより先に確認するのが現実的です。

壁②|費用:平均3.2万円だが、25.7%が「高すぎる」と感じる

2つ目は、費用です。問題を感じた正社員の**25.7%**が「費用がかかりすぎる」と回答しています。

ところが、実際にかかっている金額を見ると、ここにもギャップがあります。自己啓発を行った人の平均の延べ自己負担費用は、年間で約3.2万円(正社員は約3.3万円)。しかも「0円」の人が38.4%と最も多く、2万円未満の人が全体の8割近く。10万円以上をかけた人は1割に届きません。

自己負担費用割合
0円38.4%
1万円未満約25%(0円超〜1万円未満)
1万〜2万円未満13.2%
10万円以上1割未満

実額は決して大きくないのに、4人に1人が「高い」と感じる。この差は、「払う金額」と「戻ってくる価値」が結びついていないから生まれます。費用が高く感じるのは、そのスキルが自分にいくらの価値をもたらすかが見えないときです。

だからこそ、料金は単独で「高い・安い」を判断しないことです。**そのスキルでプロになった人が世の中でいくら稼いでいるか(市場価値)**と並べて、はじめて投資の妥当性が見えてきます。職種別の年収とスクール料金を厚生労働省の公的データで突き合わせた副業スキルの市場価値とスクール料金の比較で、その判断材料を一枚の表にまとめています。あわせて、会社員なら教育訓練給付金で実質負担を下げられるコースがある点も、費用の壁を低くします。

壁③|選べない:「どれを学べばいいか」が4割を迷わせる

3つ目は、見落とされがちですが根が深い壁です。問題を感じた正社員のうち、「どのコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」が22.1%、「自分の目指すべきキャリアがわからない」が19.8%。合わせると、約4割が「そもそも何を学べばいいか」で止まっています。

時間とお金を用意できても、行き先が決まらなければ一歩目は踏み出せません。そして情報をいくら集めても、選択肢が増えるほど迷いは深くなります。「適当な教育訓練機関が見つからない」(14.3%)「コース等の情報が得にくい」(12.1%)も、根は同じ「選べない」です。

この壁は、情報を足すのではなく判断軸を持つことで外れます。Naviaが比較記事や選び方記事を作っているのは、まさにこの「選べない」を解くためです。

「自分の目指すべきキャリアがわからない」段階でも、進みながら絞り込んで構いません。大事なのは、迷いを抱えたまま情報の海で止まらないことです。

データが映す、会社員のスキルアップ攻略法

公的データを整理すると、会社員の学びはこう見えてきます。

  1. 現在地:自己啓発を行う正社員は45.3%。年齢が上がるほど割合は下がる=早く動くほど有利。
  2. 壁の正体:つまずきの82.9%は「時間・費用・選べない」という構造。やる気の問題ではない。
  3. 外し方:時間→すきま時間で完走できる設計を選ぶ/費用→市場価値と並べて判断する/選べない→情報でなく判断軸を持つ。

ちなみに、自己啓発を行った正社員がその理由に挙げたトップは「現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため」(81.1%)、次いで「将来のキャリアアップに備えて」(59.9%)でした。「転職や独立のため」も10.5%います。学びの動機は、目の前の仕事から将来への備えまで幅広く、副業に向けたスキル習得もこの延長線上にあります。

副業そのものの広がりを数字で確かめたい方は、副業をしている人は実際どれくらい?もあわせてご覧ください。壁の正体がわかれば、あとは外して動くだけです。早く動いた人から、選択肢を増やしていけます。

データの出典と取得方法

本記事の自己啓発の実施率・実施時間・自己負担費用・問題点(障壁)の数値は、すべて厚生労働省の公表資料から、Navia編集部が取得・整理しました。

  • 出典:厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査」個人調査(調査結果の概要)。数値は令和5年度(2023年度)の実績にあたります。実施率は図74、平均延べ実施時間は図78、平均延べ自己負担費用は図79・図80、自己啓発を行う上での問題点(障壁)は図87・図88、自己啓発を行った理由は図84に基づきます。
  • 平均値の注記:平均延べ実施時間・自己負担費用は、回答が階級区分のため、厚生労働省が各階級の中間値を用いて算出した推計値です。問題点・理由は複数回答のため、合計は100%を超えます。
  • データ取得日:2026年6月29日。
  • 能力開発基本調査は毎年実施されます。本記事は更新時点で入手できる最新の調査結果に基づいており、新しい年度が公表され次第、数値を更新します。

なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。具体的な学習計画や費用の判断は、ご自身の状況に合わせてご検討ください。

このデータの引用について

本記事の集計結果・グラフは、出典を明記していただければ、記事・資料・SNS等で引用・参照いただけます。引用の際は、出典名と本ページへのリンクの併記をお願いします。

出典:Navia編集部「会社員の自己啓発、82.9%が壁にぶつかる|公的データで見る3つの障壁と外し方」 https://naviamarketing.com/posts/reskilling-barriers-data/

なお、能力開発基本調査そのものの再利用は、政府標準利用規約など各府省の定める条件に従ってください。